• 9月 23, 2026

手汗・ワキ汗で学校生活に困っていませんか?家庭での工夫と相談のタイミング

監修:日本小児科学会専門医 森川哲行

「体育の着替えのとき、ワキの汗じみをいつも気にしている」「テストの答案用紙が、汗でよれてしまう」「友達と手をつなぐ場面で、さりげなく手を引っ込めてしまう」。お子さんにこんな様子はありませんか。

汗をかくこと自体は体の自然な反応ですが、量が多く学校生活に影響が出ている場合には、ちょっとした工夫や相談で負担を減らせることがあります。綾瀬駅前こどもクリニックでは、こうしたご相談も承っています。今回は、学校生活でよくある困りごとの場面ごとに、ご家庭でできる工夫や相談のタイミングをご紹介します。

こんな場面で困っていませんか?

・体育や部活動の着替え:ワキの汗じみが気になって、着替えをためらう

・テストや授業中:答案用紙やノートが汗で濡れてしまう

・タブレット学習やピアノ、習字などの授業:手の汗で画面や道具が滑る

・友人関係:手をつなぐ、手を握る場面をさりげなく避けてしまう

・発表会や合唱コンクールなど人前に立つ場面:緊張で汗が増え、そのことで余計に意識してしまう

こうした場面が続くと、お子さん自身が「自分だけ違う」と感じ、学校生活そのものへのストレスにつながることもあります。

家庭でできる、場面別の工夫

【体育・部活の着替え対策】

・吸汗速乾素材の下着やインナーを準備しておく

・着替え用のタオルや替えのシャツを多めに持たせる

【授業・テスト対策】

・小さめのハンカチやタオルを机の中に用意しておく

・汗で滑りにくいグリップ付きの筆記用具を選ぶのも一つの方法

【友人関係・人前での場面】

・低刺激性の汗拭きシートを持たせ、気になったときにさっとケアできるようにする。しみたり赤くなったりする場合は使用を中止する

・「汗をかくのは体の自然な働きで、恥ずかしいことではない」と、家庭でも伝えておく

なお、化学繊維など肌に合わない素材は避け、本人が快適と感じる肌ざわりの素材を選ぶことも大切です。多汗症は、清潔にしていないために起こるものではありません。汗のことを繰り返し指摘したり周囲に話したりすると、本人の緊張が強まり症状が悪化することもあるため、本人の気持ちを尊重しながら、そっと寄り添うようにしましょう。

学校の先生に伝えておきたいとき

症状が続く場合は、学校生活での配慮について、先生に相談することも一つの選択肢です。

・体育の着替え時間に、少し余裕を持たせてもらう

・提出物が汗で濡れてしまった場合の対応を、あらかじめ相談しておく

・本人が周囲に知られたくない場合は、さりげない配慮をお願いする

まずは本人の希望を確認し、誰に、どこまで伝えるかを一緒に決めることが大切です。学校にどう伝えたらよいか迷う場合は、クリニックでも相談を承っています。

季節によって変わる、汗のトラブル

手汗・ワキ汗に伴う肌トラブルは、季節によって傾向が異なります。

・気温が高い時期:汗の量そのものが増え、あせもや湿疹、手の水ぶくれ・皮むけなどがみられることがあります。多汗に伴って、または多汗とは別の皮膚トラブル(汗疱など)としてみられることもあるため、繰り返す場合や強いかゆみ・痛みを伴う場合は受診をご検討ください。また、汗を嫌がって水分補給を控えてしまうと、熱中症のリスクが高まることもあるので注意が必要です。

・気温が低い時期:厚着や暖房で蒸れやすく、ニオイが気になりやすい季節です。汗で濡れた衣類のままでいると体が冷えやすく、寒さや不快感につながることがあります。また、繰り返し拭く際の摩擦や頻繁な手洗いが重なることで、手荒れが悪化することもあります。

こんなときは、一度ご相談ください

思春期には汗やニオイが気になり始めやすい時期ですが、生活に支障が出るほどの発汗が続く場合は、成長期だけの問題と決めつけず、一度ご相談ください。次のようなことでお子さんや保護者の方が困っている場合は、程度にかかわらずご相談ください。

・体育や部活の着替えで、汗じみが強く気になる

・テストや作業のたびに、答案用紙や物が汗で濡れてしまう

・友達と手をつなぐのを避けるなど、行動に影響が出ている

・ご家庭での工夫だけでは改善しにくい

なお、安静にしているときや涼しい環境でも汗が出ることがありますが、多汗症は暑い環境や運動時にも症状が現れます。日常生活に支障が出ているかどうかが、相談の目安になります。「これくらいで相談していいのかな」と迷う必要はありません。お子さんの「困った」という気持ちが、受診を考えるきっかけになります。

早めの受診をおすすめするサイン

一方で、次のような場合は、暑さや運動、緊張による通常の発汗とは別の原因が隠れていることがあるため、早めの受診をおすすめします。

・急に汗の量が増えた

・手足だけでなく全身に汗をかく

・左右で汗の量に明らかな差がある

・夜間や睡眠中にも目立つ発汗がある

・発熱、動悸、体重減少、だるさを伴う

・新しく飲み始めたお薬がある

症状が強い場合や、意識状態の変化・息苦しさ・強い動悸を伴うなど急な体調変化がある場合は、様子を見ずに速やかに医療機関を受診してください。意識がおかしい、呼吸が苦しいなど症状が強いときは、救急要請も検討してください。

また、ニオイが主な悩みの場合は、多汗症そのものよりも「腋臭症」など別の原因が関係していることもあります。ニオイについてのご相談も歓迎します。

医療機関での診断について

参考として、医療機関では、原因がはっきりしないまま局所的な過剰発汗が6か月以上続き、発症年齢、左右対称性、睡眠中の状態、頻度、家族歴、生活への支障といった項目に複数当てはまるかどうかを、原発性局所多汗症を考える一つの目安としています。ただし、これは自己判断のための基準ではありません。実際には、発汗の部位や経過、内服中のお薬、全身の症状などとあわせて、医師が総合的に判断します。気になる場合は、遠慮なく綾瀬駅前こどもクリニックにご相談ください。

受診後の流れについて

受診では、症状の経過や日常生活への影響を伺ったうえで、保険診療の範囲で症状に応じた治療法をご提案します。ワキ汗には、朝1回拭くだけのシートタイプの外用薬「ラピフォートワイプ」(9歳以上の原発性腋窩多汗症が対象)があり、学校にも持って行きやすく、1日1回の使用で効果が持続するのが特徴です。手のひらの汗には、夜寝る前に塗って朝に洗い流すタイプの「アポハイドローション」(12歳以上の原発性手掌多汗症が対象)があり、使い続けることで1〜2週間ほどで変化を感じられるお子さんもいます。年齢や症状によってはご案内できる治療が異なりますので、詳しくは診察の際にご相談ください。「病院に行くほどのことか分からない」という段階でも構いませんので、気になることがあれば、まずは綾瀬駅前こどもクリニックにご相談ください。

まとめ

手汗やワキ汗の悩みは、学校生活のちょっとした場面で子どもたちを困らせていることが少なくありません。ご家庭での工夫や学校との連携で楽になることもあれば、受診が助けになることもあります。一人で抱え込まず、まずは綾瀬駅前こどもクリニックにご相談ください。

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