百日咳とは
強く咳込んでいる症状がみられるのが特徴的な感染症です。
主に百日咳菌と呼ばれる細菌に飛沫感染（あるいは接触感染）によって感染し、1～2週間の潜伏期間を経た後、風邪のような症状として、鼻水、くしゃみ、軽度の咳（発熱はあっても軽度）などが1～2週間程度みられます（カタル期：この時期は感染力が最も強い時期でもある）。
カタル期を過ぎると、けいれん性の咳（レプリーゼ：スタッカート（短い咳が長く続く）や呼吸時に笛のような音が出る）を3週間程度、繰り返すようになります（痙咳期）。
その後は、発作のような咳は治まっていき、軽度な咳が2～3週間程度は出続けることになります（回復期）。
このように百日咳は、上記の経過をたどるようになるのですが、ここまで2～3ヵ月の期間を要することになります。
なお百日咳については、小児の定期予防接種の5種混合ワクチンに含まれており、罹患者の数は減少傾向ですが、ワクチンの効果が減衰した成人になって感染するケースもよくみられます。
この場合、感染しても風邪による咳などではないかと見過ごされることもあるのですが、この状況で重症化しやすい小児に罹患するリスクもあるので要注意です。
とくに乳児は重篤化しやすく、咳症状が出なくても、無呼吸発作やチアノーゼなどがみられます。
さらに、肺炎や脳症、中耳炎などを併発することもあります。
百日咳が疑われる場合は、血液検査を行い、白血球の増加傾向などをみていきます。
確定診断としては、鼻咽頭ぬぐい液を使用する抗原迅速検査などを行います。
治療について
発症初期の状態から抗菌薬（主にマクロライド系）を投与していけば、咳による発作を軽減させられるようになります。
また必要であれば、去痰薬、気管支拡張薬、酸素吸入なども行っていきます。
なお感染力が強いこともあり、百日咳特有とされる咳症状が出なくなるまで、もしくは適切とされる抗菌薬による5日間の治療が終わるまでは、学校等は出席停止となります。
