予防接種とは
感染症をあらかじめ予防する方法の中でも有用とされているのが予防接種です。
この場合、ワクチンを体内へ接種していくのですが、その種類はいくつかあります。
ひとつは、感染症の原因となる病原体（ウイルス、細菌 等）の病原性を弱めて作られた生ワクチンがあります。
また病原体を殺菌もしくは不活化させて、感染性を失わせた状態で必要なものだけ集めて作られた不活化ワクチンというのもあります。
上記のほかにも、細菌が作る毒素のみを取り出して無毒化させた状態で体内に接種していくトキソイド、ウイルスがタンパク質を作る土台となる遺伝情報の一部を用いることで免疫をつけていくmRNAワクチンなどもあります。
いずれにしてもワクチンを接種していくことで、特定の感染症に対する免疫がつくようになります。
これによって、感染や発症がしにくくなるほか、発症したとしても重症化しにくくなるという利点があります。
定期接種と任意接種
なお予防接種には、予防接種法に基づいて行われる定期接種と法には定められていない任意接種に分けられます。
定期接種は、接種対象年齢の期間（種類によって異なる）にワクチンを接種すれば、無料もしくは一部公費負担で受けることができます。
また任意接種については自己負担となり、保護者の判断によって接種するかしないかを決めることになります。
ただ任意接種のワクチンの中にも罹患することで重症化する可能性のある感染症もありますので、できるだけ接種されるようにしてください。
ちなみに定期接種のワクチンでも接種対象年齢ではない期間に受けるとなれば任意接種扱いとなります。
なお小児が受けるワクチンというのは、定期接種、任意接種に関係なく、種類が多く、また接種回数も複数回あることから、打ち漏らしを心配される保護者の方も多いかと思います。
スケジュール管理に不安のある場合は、お気軽に当院にご相談ください。
定期接種ワクチンの種類と回数
ワクチンの種類：〇…生ワクチン、●…不活化ワクチン
| ワクチン | 接種時期 | 接種回数 |
|---|---|---|
| ロタウイルスワクチン（ロタテック）〇 ※ | 生後6週から生後32週目まで接種可能。3回目は2回目の接種から4週間以上開ける | 3回 |
| ロタウイルスワクチン（ロタリックス）〇 ※ | 生後6週から生後24週目まで接種可能。2回目は1回目の接種から4週間以上開ける | 2回 |
| 小児用肺炎球菌ワクチン ● | 生後2～4ヵ月の間に3回、12～15ヵ月までに1回 | 4回 |
| B型肝炎ワクチン ● | 生後2～3ヵ月の間に2回、7～8ヵ月までに1回 | 3回 |
| 5種混合ワクチン（DPT-IPV-Hib） ● | 生後2ヵ月～2歳の誕生日前まで | 4回 |
| 2種混合ワクチン（DT） ● | 11歳〜13歳の誕生日前まで | 1回 |
| 麻しん（はしか）・風しん混合ワクチン（MR） 〇 | 1歳～2歳の誕生日前に1回、5歳～7歳の誕生日前までに1回 | 2回 |
| 水ぼうそう（水痘）ワクチン 〇 | 生後12～15ヵ月で1回、その後6～12ヵ月開けて1回 | 2回 |
| 日本脳炎ワクチン ● | 3歳の間に2回、4歳の間に1回、9～12歳の間に1回 | 4回 |
| BCGワクチン 〇 | 5～8か月未満の間に接種 | 1回 |
| 子宮頸がんワクチン（HPV） ● | 12歳から16歳の女子が対象 | 2～3回 |
任意接種ワクチンの種類と回数
小児の任意予防接種は次の通りです。費用は、全額自己負担となります。
ワクチンの種類：〇…生ワクチン、●…不活化ワクチン
| ワクチン | 接種時期 | 接種回数 |
|---|---|---|
| おたふくかぜワクチン 〇 | 1歳過ぎたら早期に接種、2回目は5歳以上7歳未満の間に接種 | 2回 |
| 3種混合ワクチン（DPT） ● | 5歳～7歳の誕生日前までに1回、11歳～12歳までに1回 （2種混合（DT）の定期接種を行った方は不要です） |
2回 |
| 鼻腔内スプレー型インフルエンザワクチン （フルミスト） 〇 |
2歳以上から19歳未満が対象で、毎年流行前の10～11月に接種。 | 1回 |
| 注射型インフルエンザワクチン ● | 生後6ヵ月以降の全年齢が対象で、毎年流行前の10～11月に接種。1回目と2回目の間隔は2～4週間ほど空ける | 13歳未満は2回 |
| ポリオ（IPV） ● | 5歳～7歳の誕生日前までに1回 | 1回 |
| A型肝炎ワクチン ● | 1歳から接種可能、1回目から2回目は2～4週間の間隔で接種し、その約半年後に3回目を接種 | 3回 |
ワクチンの種類や接種スケジュールについては、下記サイトもご参考になさってください。
