赤ちゃんの頭の形について

赤ちゃんの頭の形について、「後頭部が平たい」「左右で形が違う」「向き癖があって歪んでいる」と気になったことはありませんか?写真や抱っこのたびに「このままで大丈夫かな?」と不安を抱える保護者の方は少なくありません。

赤ちゃんの頭の骨は非常に柔らかく、成長スピードも早いため、寝方や向き癖といった外力によって簡単に変形します。軽度のゆがみであれば成長とともに改善することもありますが、重度の場合や月齢が進むと自然治癒が難しくなるケースもあります。そのため、遅くとも生後6か月までには治療を始める必要があると言われています。

赤ちゃんの頭の形について、気になることや不安に思うことがあれば早期にご相談していただくことをおすすめします。

頭の形がゆがむ原因とパターン

赤ちゃんの頭のゆがみは、大きく分けて「病的要因」と「外力による要因」の2つに分類されます。

病的要因(頭蓋骨縫合早期癒合症)

通常は成長とともにくっつくはずの頭蓋骨の継ぎ目(縫合線)が、生まれつき早期に癒合してしまう病気です(出生児の約0.04〜0.1%)。脳の成長に伴って頭蓋骨が拡大できず、脳の発達や顔面骨の形成に影響を及ぼすリスクがあります。

診断によっては開頭手術や骨延長手術などの専門的な加療が必要となるため、早期の判別が極めて重要です。

外力による要因(位置的頭蓋変形症)

当院の外来で治療対象となる多くのケースがこちらです。お腹の中にいた時の体勢や産道を通る際の圧力、出生後の向き癖や長時間の仰向け寝によって、頭の一部分に圧力がかかり続けることで生じます。

頭のゆがみには、主に以下の3つのパターンがあります。

パターン 特徴・主な原因 見た目の特徴
斜頭(しゃとう) 向き癖や斜頸、胎内環境による圧迫が主な原因 後頭部の片側が平らになり、上から見ると平行四辺形に見える。耳の位置に左右差が出ることがある。 赤ちゃんの頭の形外来
短頭(たんとう) 長時間の仰向け寝が主な原因(いわゆる「絶壁」) 後頭部全体が平らになり、頭の前後の長さが通常より短く横に広がっている。 赤ちゃんの頭の形外来
長頭(ちょうとう) 保育器内で横向き姿勢をとることが多かったNICU経験児に多い 頭の前後の長さが通常より長く、横幅が狭くなっています。 赤ちゃんの頭の形外来

治療とケアの方法

当院では、診察・検査結果や赤ちゃんの月齢に応じて、「理学療法」と「ヘルメット治療」を提案しています。

1. 理学療法(自宅でできるケア)

生後1〜2か月頃の早期や、ゆがみが軽度の場合に推奨される方法です。頭の一部分にだけ圧力がかかり続けるのを防ぎます。

体位変換

抱っこや授乳の向き、寝かせる際の頭と足の向き、赤ちゃんに話しかける方向を左右交互に変え、向き癖を改善します。

窒息や乳幼児突然死症候群を防ぐため、寝かせる時は必ず固い寝具で仰向け寝にしてください。

タミータイム(うつぶせ遊び)

赤ちゃんが起きている間に、保護者の見守りのもとでうつ伏せの姿勢をとらせます。頭・首・上半身の筋肉発達を促し、後頭部への圧力を減らす効果があります。

生後4か月以降や月齢が高くなるほど、理学療法のみで期待できる改善効果は薄くなるため、早めの相談が大切です。

2. ヘルメット治療(頭蓋形状矯正ヘルメット)

生後3〜6か月頃の適齢期で、3Dカメラ撮影などのデータ分析により「中等症以上」のゆがみが確認された場合に検討する治療法です。

治療の原理

赤ちゃん一人ひとりの頭の形に合わせたオーダーメイドヘルメットを装着します。ヘルメットは平らな部分(成長させたい部分)に隙間を作り、突出している部分には適度に触れる構造になっています。

頭に強い力をかけて無理に変形させるのではなく、赤ちゃんの自然な頭の成長力を利用して、隙間のある方向へ頭の骨が育つよう誘導します。脳の発達を妨げる心配はありません。

赤ちゃんの頭の形外来

ヘルメット治療の流れ

  1. 受診・診断:視診や3Dスキャンによって頭の歪みの重症度を評価します。
  2. ヘルメットの作成:治療を希望される場合、撮影データを元にオーダーメイドでヘルメットを作成します(発注から完成まで約2週間)。
  3. 治療開始・定期通院:実際に装着してフィット感を確認し、治療を開始します。月に1回程度通院いただき、頭の成長具合や皮膚状態のチェック、ヘルメットの微調整を行います。
  4. 治療終了:頭の形が改善された段階で治療完了となります。

標準的な治療期間の目安は2〜6か月です。赤ちゃんの月齢や歪みの程度によって個人差があり、月齢が低く歪みが軽度なほど、治療期間は短くなる傾向があります。通院頻度は月に1回程度(4〜5週間ごと)が目安です。

ヘルメット治療の注意点

ヘルメット治療を安心して進めていただくために、ご家庭で気をつけていただきたい点をまとめました。気になる症状がある場合は自己判断せず、早めに当院までご連絡ください。

装着時間の目安

1日20時間以上の装着を目安に、赤ちゃんの様子を見ながら少しずつ時間を延ばしていきます。装着時間が長いほど、平坦な部分の成長が促され、効果が高まる傾向があります。

皮膚の確認

特に装着を開始してから3〜4日間は、数時間に1回ヘルメットを外して頭皮の状態をご確認ください。30分以上たっても消えない赤みがみられる場合は、直ちに装着を中止し、当院までご連絡ください(30分以内に消える赤みであれば、装着を継続していただいて問題ありません)。

肌トラブルへの対応

汗などによる湿疹には、保湿剤や軟膏、必要に応じてステロイド外用薬で対応します。ガーゼやフィルム材をヘルメットとの間に挟むことで改善する場合もあります。

一方、圧迫や擦れによる赤み(直径1〜3cm程度のスポット状の赤み等)がみられる場合は、装着を中止のうえ白パッドの調整が必要になりますので、当院までご連絡ください。

ヘルメットのズレについて

治療初期にみられる多少のズレは、頭の成長を促すためにあえて内部に空間を設けていることによるもので、正常な範囲です。頭の成長とともに徐々に安定してきます。ただし、目や耳にかかるような大きなズレがみられる場合は調整が必要ですので、当院までご連絡ください。

お手入れ

ヘルメット本体・クッションは1日1回を目安に洗浄し、清潔な状態を保ってください。お手入れが不十分な場合、においや皮膚炎の原因となることがあります。

取り扱い上の注意

火気に近づけないこと、口に入れないこと、踏みつける等の強い力を加えないこと、シンナー等の溶剤を使用しないことを必ずお守りください。保管の際は直射日光や高温多湿を避けてください。ヘルメットが割れる・曲がる等の破損がみられた場合も、当院までご連絡ください。

費用について

本治療(ヘルメット治療)は保険適用外の自由診療です。

治療で生じた健康被害に対する特別な補償制度はございません。また、赤ちゃんの発育状況によって治療効果には個人差があり、目標とする頭蓋形状まで改善が及ばない可能性もあります。まれに治療開始後に頭蓋骨縫合早期癒合症など他の疾患が判明する場合があり、その際は専門医療機関をご紹介いたします。なお、ヘルメットをご発注いただいた後のキャンセルはお受けできませんので、あらかじめご了承ください。

ヘルメット治療費(総額) 350,000円(税込)
3D撮影費用、ヘルメット本体代、治療終了までの診察代を含みます。
ヘルメットの交換(破損・紛失等) 175,000円(税込)
治療延長等による
2個目のヘルメット作製
220,000円(税込)

主なリスク・副反応

赤ちゃんの頭の形外来

よくあるご質問(FAQ)

Q. 赤ちゃんの頭の形は自然に治りますか?

A. 月齢が小さく軽度な歪みであれば、首すわりや寝返り、お座りなど自分で体勢を変えられるようになるにつれて自然に改善することもあります。しかし、重度の歪みや生後4〜5か月以降に進行した歪みは、自然治癒が難しいというデータがあります。

Q. ヘルメット治療はいつから始めるのがベストですか?

A. 赤ちゃんの頭の骨が柔らかく、急速に成長する生後3〜6か月頃に開始するのが最も効果的です。生後7か月以降でも治療可能な場合はありますが、骨が固くなってくるため治療期間が長くなる傾向があります。

Q. ヘルメットを嫌がったり、痛がったりしませんか?

赤ちゃんの頭の形外来A. 力を加えて頭を締め付けるわけではないため、痛みを伴うことはありません。装着開始直後は違和感から嫌がることもありますが、多くの赤ちゃんは数日で慣れて普段通り過ごせるようになります。

お気軽にご相談ください

赤ちゃんの頭の形に関する不安は、「様子を見ているうちに手遅れにならないか」と一人で悩まず、気になったら早めに医師に相談することが解決への第一歩です。ヘルメット治療の適齢期は生後3〜6か月と言われ、早めに治療を開始することで治療効果も高くなると報告されています。

赤ちゃんの頭の形について気になることがあれば早めにご相談ください。当院では、現在のゆがみの程度を正確に測定した上で、ご家庭でのケアで経過観察すべきか、ヘルメット治療を検討すべきかを分かりやすくご説明いたします。

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